四戒とは、驚、懼、疑、惑、の四つを言い、剣道修錬中に、この中の一つでも心中に起こしてはならないという戒めである。
文句の解釈では、驚とは「おどろき」「おどろく」とあり、懼とは「気づかい」「恐れる」であり、疑とは「あやぶむ」「あやしむ」であり、惑とは、「おどろき」「恐怖」「疑心」「まごつき」の心をいうのである。
1.驚
予期しない相手の動作に驚く時には、一時心身が混乱し、正当な判断と適当な処置を失い、その甚だしい時は呆然自失する場合がある。
2.懼
恐怖の念が一度心中に起ると、精神活動が停滞し、甚だしいものは手足がふるえその働きを失うものである。
3.疑
疑心ある時は、相手を見て見定めがなく、自分の心に決断がつかず、敏速な判断、動作ができない。
4.惑
惑う時は精神が混乱いして、敏速な判断、軽快な動作ができない。
同様の言葉で、剣道の試合で相手に打たれるところ
恐れ、慄き(おののき)、迷い、疑い
剣道を修行する過程において、重要な事柄を述べた古人の教えである。第一に相手を見る目、第二に足さばき、第三に胆力、すなわち何事にも動じない強い気持ちや決断力、第四に力、すなわち技を発揮する身体能力が重要であるという教えである。
1.一眼
相手と対峙した時には、まず相手の思考や動作を見破る眼力(洞察力)が最も大切である。宮本武蔵は「観見二様の目付け」として「観の見強く、見の目弱く」と教えている。
2.二足
初心者ほど手先で打って足が伴わないものである。道歌に「立合いは竹刀で打つな手で打つな、胴造りして足で打て」と教えているが、すべての打突は足がその根本であり、足の出ない剣道は居付技として卑しまれている。
3.三胆
胆は胆力である。四戒と云われる驚懼疑惑の四病を払拭して、一刀両断する勇気と決断が大切である。
4.四力
力は思い切った技、およびその技を発揮する体力や筋力などの身体能力である。